「この人についていきたい」と思わせるリーダーの心理的特徴

同じ指示を出しても、「またか」とうんざりされる上司と、「この人のためなら頑張ろう」と思われるリーダーがいます。

この違いは、カリスマ性や生まれ持った才能ではありません。心理学の研究によると、人がついていきたいと感じるリーダーには、共通する心理的特徴があることがわかっています。

この記事では、部下やチームメンバーから自然と信頼を集めるリーダーが持つ6つの特徴を、心理学の視点から解説します。

目次

「心理的安全性」を作れる

Googleが大規模な社内調査「プロジェクト・アリストテレス」で発見した、最も重要なチーム成功の要因。それが「心理的安全性」です。

心理的安全性とは、「このチームでは、自分の意見を言っても否定されない」「失敗しても責められない」と感じられる状態のこと。優れたリーダーは、この安心感を意識的に作り出しています。

具体的には、メンバーの発言を遮らない、失敗を責めずに「次にどうするか」を一緒に考える、自分の失敗談もオープンに話す、といった行動が挙げられます。

人は「否定されるかもしれない」と感じると、本音を言わなくなります。心理的安全性が低いチームでは、問題が隠され、イノベーションが生まれにくくなります。「ついていきたい」と思われるリーダーは、まず安心して発言できる場を作ることから始めているのです。

一貫性のある言動

心理学者ロバート・チャルディーニは、「一貫性」を人が信頼を感じる最も重要な要素の一つとして挙げています。

言っていることとやっていることが違う上司、機嫌によって態度が変わる上司には、誰もついていきたいと思いません。逆に、良いときも悪いときも同じ姿勢で接してくれるリーダーには、安心感と信頼が生まれます。

一貫性とは「頑固さ」ではありません。状況に応じて方針を変えることはあっても、その判断基準や価値観がブレないということです。「この人は、こういう場面ではこう判断する」と予測できることが、チームに安定感をもたらします。

特に重要なのは、「言葉と行動の一致」です。「失敗を恐れるな」と言いながら失敗した部下を叱責したり、「意見を聞かせてほしい」と言いながら反対意見を無視したりするリーダーは、すぐに信頼を失います。

弱さを見せる勇気がある

意外に思われるかもしれませんが、「弱さを見せられる」ことは、優れたリーダーの重要な特徴です。

テキサス大学の研究者ブレネー・ブラウンは、リーダーシップと「ヴァルネラビリティ(脆弱性)」の関係を長年研究してきました。その結果、完璧を装うリーダーよりも、自分の不安や迷い、過去の失敗を正直に語れるリーダーの方が、チームから深い信頼を得られることがわかっています。

「私もこの分野は詳しくない」「正直、今回の判断には迷いがある」——こうした言葉は、弱さではなく誠実さの表れです。人は、完璧な人間よりも、等身大の人間に共感し、ついていきたいと思うのです。

ただし、これは「弱音を吐けばいい」という意味ではありません。弱さを見せながらも、「それでも前に進もう」という姿勢があってこそ、人を惹きつけるリーダーになれます。

「聴く」ことを優先する

多くの人は、リーダーには「話す力」が必要だと考えます。しかし、本当に慕われるリーダーは「聴く力」に長けています。

ハーバード・ビジネス・スクールの研究によると、部下が「上司に話を聴いてもらえている」と感じるとき、仕事への満足度、パフォーマンス、会社への忠誠心がすべて向上することがわかっています。

ここで言う「聴く」とは、単に相手の話を黙って聞くことではありません。相手の言葉を遮らず、適切な相づちを打ち、内容を要約して確認し、質問で深掘りする——このプロセスを「アクティブ・リスニング(積極的傾聴)」と呼びます。

話を聴いてもらえると、人は「自分は尊重されている」「この人は自分を理解しようとしてくれている」と感じます。この体験が、「ついていきたい」という気持ちの土台になるのです。

成功を分かち、失敗を引き受ける

チームが成果を出したとき、自分の手柄にするリーダーと、メンバーの貢献を称えるリーダー。どちらについていきたいかは明白です。

心理学では、これを「帰属のパターン」と呼びます。信頼されるリーダーは、成功したときは「みんなのおかげ」と外に帰属させ、失敗したときは「私の判断ミスだ」と自分に帰属させます。

反対に、成功を自分の手柄にし、失敗を部下のせいにするリーダーは、短期的には自分を守れても、長期的にはチームの信頼を完全に失います。

「この人の下でなら、安心して挑戦できる」という感覚は、「失敗しても守ってもらえる」という信頼から生まれます。責任を引き受ける覚悟があるリーダーだからこそ、メンバーは思い切った行動ができるのです。

「なぜ」を伝えられる

「これをやって」と指示するだけのリーダーと、「これをやる理由はこうだ」と背景を説明するリーダー。同じ作業でも、メンバーのモチベーションは大きく変わります。

サイモン・シネックが提唱した「ゴールデンサークル理論」によると、人は「何をするか(What)」ではなく、「なぜするか(Why)」に心を動かされます。

優れたリーダーは、チームの仕事が組織全体にどう貢献するのか、なぜこの方向に進むのか、自分たちの仕事にどんな意味があるのかを、繰り返し伝えます。

人は、単なる歯車として働くことに耐えられません。自分の仕事に意味を感じたとき、初めて本当の力を発揮できます。「なぜ」を語れるリーダーは、メンバーに目的意識を与え、チームを一つの方向に向かわせることができるのです。

まとめ:リーダーシップは「スキル」である

「ついていきたい」と思わせるリーダーの特徴を振り返ってみましょう。

  • 心理的安全性を作れる
  • 一貫性のある言動
  • 弱さを見せる勇気がある
  • 「聴く」ことを優先する
  • 成功を分かち、失敗を引き受ける
  • 「なぜ」を伝えられる

これらは、生まれ持った才能ではなく、意識すれば誰でも身につけられるスキルです。

カリスマ性がなくても、口下手でも、内向的でも、リーダーにはなれます。大切なのは、メンバーを「動かそう」とするのではなく、「一緒に進みたい」と思ってもらえる関係を築くこと。

今日からできる小さな一歩として、まずは「聴くこと」から始めてみてはいかがでしょうか。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次